わいせつ等事件簿

(20日、高校野球 大阪桐蔭5-2済美)

 野球をやめる。昨秋に憧れていた済美のユニホームを脱ぐ覚悟を決めた。

 生まれつき、視覚に障害があり色の判別がしづらい。幼い頃、絵を描く時に、母に「顔の色は何色に塗ればいいの?」と聞いたことがあった。小学3年で始めた野球では、中学までは白い土のグラウンドでボールは見えていたが、高校で黒土になってから見えにくくなった。さらに、ナイター照明を使った練習が増え、より打球が見えにくくなった。守備の時に1歩目が遅れ、キャッチボールは相手の投げ方を見て予測してグラブを出すようになった。このままではチームに迷惑をかける。そんな思いが募った。

 昨秋、背番号3をもらって一塁手で出場した。しかし、愛媛県大会の準決勝でミスをし、負けた。「見えなくてミスをしたわけではないけど、もし、見えないことでミスをしたら、みんなに申し訳ない」。心は決まった。監督に事情を話し、マネジャーに。記録員という役割をもらった。

 正直、野球を続けたかった思いはある。代打だけ、という道もあったかもしれない。でも、胸にしまい込んで、裏方に徹した。「チームのためにやれることを全てやる」。準備を手伝い、声を出し、仲間をサポートした。

 全国4強。「お前を甲子園に連れて行く、と言ってくれた仲間もいた。みんなに感謝しかない」。周りを照らすような子になってほしい、と名付けられた「太陽」は、満面の笑みで甲子園を去った。

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 野球をあきらめる時、唯一、母の貴子さんの前でだけ太陽は泣いた。昨秋のある日、自宅で母と2人きりになった。食事をしながら、胸の内を明かした。「やっぱり、見えないんよ」

 母は「どれくらい見えんの」と聞いた。太陽は「2、3メートル手前からしか見えん」。母は驚いた。もっと気にしてあげられたのではないか、と自らを責めた。母は遺伝が関係している可能性があることも知っていた。「ごめん……」と泣いた。太陽は「泣かんで。お母さんが悪いわけじゃないから」と言ったが、涙が止まらなかった。

 夏の大会が始まる直前の今年6月、太陽は母に手紙を渡した。「迷惑かけてごめん。甲子園に連れて行くから」。母も書いた。「最後まであきらめず、しっかりやって。甲子園に連れて行ってね」

 夏が始まり、2人は約束した。「負けても泣かんとこう」。愛媛大会は優勝。あと2勝で全国制覇のところで、大阪桐蔭に敗れた。試合後の取材エリア。太陽に涙はなかった。

 「悔いは全くないです。選手として親を甲子園に連れてきてあげられなかったけど、仲間が連れてきてくれた。少しは恩返しができたかな。母が産んでくれなかったら、野球にも出会ってないし、甲子園のベンチにも入れなかった。本当に母には感謝しかないです」
潮流ならぬイルカに遭遇―。愛媛県今治市の大島沖で10日、潮流体験船の周囲に20~30頭の群れが突然姿を現し、乗客を驚かせた。
西日本豪雨で大きな被害を受けた愛媛県で、発生から1カ月余りのボランティア参加人数が岡山県や広島県の半数以下と低迷していることが17日、分かった。受け入れの前提となる支援ニーズの把握が進んでいないとの指摘もあり「被害が隠れたまま、ボランティアへの関心が薄れてしまうのでは」と懸念する声が上がっている。
 全国社会福祉協議会によると、今月15日までのボランティア参加人数は岡山県が約5万6千人、広島県が約7万2千人だったのに対し、愛媛県は約2万3千人。愛媛の被災地の多くが、岡山や広島の被災地に比べるとアクセスしにくいという地理的な要因も背景にあるとみられる。
 岡山や広島では土日にボランティアが増加する傾向が顕著だが、両県に比べると愛媛では鈍い。
16日、八幡浜支店(愛媛県八幡浜市)と西条支店(同西条市)に、保険専用窓口「いよぎん保険プラザ」を10月に開設すると発表した。ファイナンシャルプランナーなどの専門スタッフを配置し、顧客のライフスタイルに合った保険商品を提案する。保険ショップ最大手、ほけんの窓口グループとの提携事業で、同様の窓口は県内に計12カ所となる。
 日本生命保険など19社の終身保険や定期保険といった約100商品を取り扱う。原則事前予約制とし、顧客からの相談に無料で応じる。
 八幡浜は10月11日に開設し、平日の午前9時~午後5時に営業する。西条は同19日開設で、平日(水曜除く)に加え土日の午前10時~午後5時も対応する。西条には子連れでもゆっくり相談できるようキッズスペースを用意する。
済美(愛媛)が延長十三回、1番・矢野功一郎内野手(3年)の逆転満塁本塁打で星稜(石川)にサヨナラ勝ち。2年連続の16強入りを決めた。

 試合は延長十二回を戦って9-9のまま、決着がつかず、今大会2回目のタイブレークに入った。

 先行の星稜は無死一、二塁から始まるタイブレークで内野ゴロで1死二、三塁として、三ゴロ野選で1点を奪い、なおも一、三塁からスクイズで2点を勝ち越した。

 一方の済美は、9番の政吉完哉外野手(3年)が三塁前に絶妙なバント安打を決めて、無死満塁。ここで矢野が右翼ポール際へ大会史上2人目の逆転サヨナラ満塁本塁打を放った。

 試合は星稜(石川)の一方的なムードだった八回、一気に動いた。済美はこの回からマウンドに上がった星稜の4番手・竹谷理央投手(3年)から4安打を集中して3点を奪い、3点差に迫ると、代わった4番手・寺西成騎投手(1年)に対しても攻め手を緩めない。

 2死満塁から2点を奪い、1点差に迫ると、2死一、三塁から十三回にバント安打を決めた政吉が左翼席へ逆転3ランを放った。

 最大6点のリードをひっくり返された星稜は2点を追う九回、竹谷と鯰田啓介外野手(3年)の2本のタイムリーで同点に追いつき、試合は延長に入った。