わいせつ等事件簿


昨年7月の西日本豪雨で33人が亡くなった愛媛県では7日、宇和島、大洲、西予の3市で追悼式があり、遺族らが犠牲者を悼む。県内では約900人が仮設住宅などでの生活を強いられている。退去後を見据え、恒久的に暮らせる災害公営住宅の整備計画も進む。
 宇和島市では13人が死亡。土砂崩れが相次ぎ、特産のミカンが大きな被害を受けた。
 大洲、西予の両市では、鹿野川ダム(大洲市)と野村ダム(西予市)が安全とされる基準の6倍の水を放流、肱川が氾濫し、広範囲で浸水被害を受けた。大洲市では5人、西予市で6人が犠牲になった。
 被災後のストレスなどによる災害関連死は、県内で6人が認定されている。
 平成最悪の豪雨災害となった西日本豪雨では、14府県で275人が死亡した。
西日本豪雨で甚大な被害を受けた県内のかんきつ園地。南予用水スプリンクラー施設やモノレールなどは9割近く復旧したものの、被災した園地自体の復旧は道半ばだ。
 県は今治、松山、宇和島の3市6地区10カ所で園地の復旧方法を検討する「農地復旧モデル計画策定事業」を実施。3市3地区5カ所で大規模な造成工事を行う「再編復旧」の実現を目指す。「再編復旧」は10年以上の未収益期間をどう乗り越えるかといった課題の一方、優良園地化で後継者育成などを図る計画で未来を見据えている。
 モデル事業では、再編復旧または、隣接する未被災園地と合わせて区画整備する「改良復旧」の検討を希望した10カ所を対象に現地測量や説明会などを行い、地元と協議を重ねてきた。
 再編復旧は農家の費用負担はないが、対象農地の8割以上を担い手に集積▽面積が10ヘクタール以上(中山間地域は5ヘクタール以上)―などの要件がある。事業で園地の緩傾斜化や作業道整備を行うことで、作業効率が上がるという。
 松山市興居島の由良地区は10・8ヘクタールで再編復旧を計画。地元合意が整ったため2019年度から事業計画策定を始め、21年度の工事着手に向けて準備を進めている。ただ工事に5年、さらに収穫まで5年程度必要で、代替園地の確保などの支援が必要だ。
 ほかに「再編復旧」を検討するのは、今治市大三島地区の盛(現時点での計画農地面積約6・3ヘクタール)・井口(約2・7ヘクタール)、宇和島市玉津地区の法花津(約4・4ヘクタール)・白浦(約2・4ヘクタール)。両地区では土地の権利調整や事業目標の設定など地元の合意形成が図られている。関係者は「かんきつ産地として生き残るためにも、一日でも早く事業を前に進めたい」と語る。
 松山市の高浜、宇和島市の小名、河内は「改良復旧」、宇和島市の深浦、沖村は元の状態に戻す「原形復旧」を選択。今後2年程度での復旧を目指す。
 県は、市やJAと連携して再編復旧の合意形成の後押しをするほか、原形、改良復旧については技術支援に取り組む考え。県農地整備課は「経験したことのない規模の被害で、仮復旧や土のうなどの応急対策で1年が経過した。一日も早い復旧を目指し園地再建に取り組みたい」としている。
 同課によると、県内の樹園地の1・5%に当たる約300ヘクタールが農地崩壊するなどした。再編復旧は現在モデル事業の3地区のみで、約140ヘクタールで原形、改良復旧を予定する。そのほかは農家自ら園地や農道を整備するなどしている。