わいせつ等事件簿

鉄板で焼き上げる「今治焼き鳥」の生みの親、愛媛県今治市旭町1丁目の「五味鳥」店主・中川武樹さん(85)がこのほど現役を引退した。長年一緒に店を切り盛りし、膝を痛めて立ち仕事が難しくなった妻を思っての決断。「寄る年波には勝てず残念だが、今治焼き鳥を流行させた喜びや達成感はいつまでも忘れない」と、常連客らに惜しまれながらコテを置いた。

昨年7月の西日本豪雨で33人が亡くなった愛媛県では7日、宇和島、大洲、西予の3市で追悼式があり、遺族らが犠牲者を悼む。県内では約900人が仮設住宅などでの生活を強いられている。退去後を見据え、恒久的に暮らせる災害公営住宅の整備計画も進む。
 宇和島市では13人が死亡。土砂崩れが相次ぎ、特産のミカンが大きな被害を受けた。
 大洲、西予の両市では、鹿野川ダム(大洲市)と野村ダム(西予市)が安全とされる基準の6倍の水を放流、肱川が氾濫し、広範囲で浸水被害を受けた。大洲市では5人、西予市で6人が犠牲になった。
 被災後のストレスなどによる災害関連死は、県内で6人が認定されている。
 平成最悪の豪雨災害となった西日本豪雨では、14府県で275人が死亡した。
西日本豪雨で甚大な被害を受けた県内のかんきつ園地。南予用水スプリンクラー施設やモノレールなどは9割近く復旧したものの、被災した園地自体の復旧は道半ばだ。
 県は今治、松山、宇和島の3市6地区10カ所で園地の復旧方法を検討する「農地復旧モデル計画策定事業」を実施。3市3地区5カ所で大規模な造成工事を行う「再編復旧」の実現を目指す。「再編復旧」は10年以上の未収益期間をどう乗り越えるかといった課題の一方、優良園地化で後継者育成などを図る計画で未来を見据えている。
 モデル事業では、再編復旧または、隣接する未被災園地と合わせて区画整備する「改良復旧」の検討を希望した10カ所を対象に現地測量や説明会などを行い、地元と協議を重ねてきた。
 再編復旧は農家の費用負担はないが、対象農地の8割以上を担い手に集積▽面積が10ヘクタール以上(中山間地域は5ヘクタール以上)―などの要件がある。事業で園地の緩傾斜化や作業道整備を行うことで、作業効率が上がるという。
 松山市興居島の由良地区は10・8ヘクタールで再編復旧を計画。地元合意が整ったため2019年度から事業計画策定を始め、21年度の工事着手に向けて準備を進めている。ただ工事に5年、さらに収穫まで5年程度必要で、代替園地の確保などの支援が必要だ。
 ほかに「再編復旧」を検討するのは、今治市大三島地区の盛(現時点での計画農地面積約6・3ヘクタール)・井口(約2・7ヘクタール)、宇和島市玉津地区の法花津(約4・4ヘクタール)・白浦(約2・4ヘクタール)。両地区では土地の権利調整や事業目標の設定など地元の合意形成が図られている。関係者は「かんきつ産地として生き残るためにも、一日でも早く事業を前に進めたい」と語る。
 松山市の高浜、宇和島市の小名、河内は「改良復旧」、宇和島市の深浦、沖村は元の状態に戻す「原形復旧」を選択。今後2年程度での復旧を目指す。
 県は、市やJAと連携して再編復旧の合意形成の後押しをするほか、原形、改良復旧については技術支援に取り組む考え。県農地整備課は「経験したことのない規模の被害で、仮復旧や土のうなどの応急対策で1年が経過した。一日も早い復旧を目指し園地再建に取り組みたい」としている。
 同課によると、県内の樹園地の1・5%に当たる約300ヘクタールが農地崩壊するなどした。再編復旧は現在モデル事業の3地区のみで、約140ヘクタールで原形、改良復旧を予定する。そのほかは農家自ら園地や農道を整備するなどしている。
昨年7月の西日本豪雨発生から6日で1年になるのを前に愛媛県は5日、復興本部会議を県庁で開催した。中村時広知事や各部局の担当者が出席し、これまでの取り組み状況や、今後の復興スケジュールを総括した。中村知事は「スピードは必要だが、重視しすぎると新たな課題への対応力が弱まる。柔軟性を持って対応を」と職員らに呼びかけた。
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西日本豪雨の犠牲者に黙とうをささげた(5日、愛媛県復興本部会議)
愛媛県によると、災害関連死を含めた西日本豪雨による県内の死者・行方不明者は計33人(4月1日時点)。冒頭に約1分間の黙とうをささげた。
会議では、国・県からのグループ補助金が143者に対して12億6000万円交付済みであることや、解体ゴミの仮置き場への搬入が9月までにおおむね完了予定であることなどが確認された。
復旧工事について、人手不足から受注業者が決まらない入札不調が懸念されることから、中村知事は県職員に市町などへの手厚いフォローを指示した。
NHKで6月24日に放送されたドキュメンタリー番組「ノーナレ」(NHK)が、今治タオルの縫製工場でベトナム人技能実習生たちが低賃金かつ、劣悪な労働環境で働かされている様子を伝えたことが、大きな波紋を呼んでいる。
 
「番組終了後、テレビに映り込んだ工場の建物をネットで特定する者が現れ、その看板からA社が問題の工場を運営しているとの誤った情報が広がり、誹謗中傷が殺到。しかし、この建物はA社が別の企業に貸していたものだったといいます。そのため、A社とNHK側から“番組で取り上げた工場はA社ではない”との報告を出す事態となったのです」(夕刊紙記者)
 しかし、この騒動を受け今治タオルの振興団体「今治タオル工業組合」は声明を発表。番組で取り上げられた工場について、「当組合に所属する企業ではありません」としながらも「組合員等の縫製の下請企業の工場」とし、「この問題を非常に重く受け止めております」としたのだ。
「これにネットでは《タオルの下請けって全工程丸投げされているのでは。それで組合員じゃないからって酷すぎる》《下請けだからとトカゲのしっぽ切りをして終わるつもりでは》など、厳しい意見が相次いだんです」(ネットウオッチャー)
 しかし一方、ここへ来て批判の目はNHKに向けられることに。騒動に巻き込まれたA社が放送内容について、「業界全体が放送内容のような会社であるかのように報道し、その事実を団結して隠蔽しているかのように見せたNHKをはじめとしたメディアには極めて遺憾」「放送内容のいくつかは作り込まれたものであると発覚しています」と、BPOに抗議することを発表したためだ。