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わいせつ等事件簿 | 愛媛ゆかりのある<夏目漱石>英留学中の直筆はがき、1世紀ぶり確認 福井で

愛媛ゆかりのある<夏目漱石>英留学中の直筆はがき、1世紀ぶり確認 福井で

2018/05/23 15:03

 福井県は23日、英国に留学中だった夏目漱石(1867~1916年)が1900、01年、友人に宛てて書いたはがき3通が見つかったと発表した。「僕ハ独リボツチデ淋イヨ」などの記述があり、専門家は「留学生活の様子がうかがえる貴重な史料」としている。

 はがきは、漱石と同じ船でドイツに留学した国文学者の芳賀矢一(1867~1927年)と、ドイツ文学者の藤代禎輔(1868~1927年)に宛てている。いずれも17年から刊行された「漱石全集」(岩波書店)に文章だけが掲載され、その後は所在不明となっていたが、昨年9月に福井市内の古本店で見つかった。

 藤代に宛てた2通は共に絵はがき。渡英して1カ月後の1900年11月21日付のはがきでは、日本人学生が多いドイツをうらやんで「僕ハ独リボツチデ淋イヨ」と嘆き、「学校ノ講義ナンカ餘リ下サラナイヨ」とくだけた文章で書いている。また芳賀宛ての01年8月1日付のはがきでは、亡くなった学友の記念文庫を設立しようとの芳賀の提案に改まった文体で「小生も無論賛成致候」と賛意を示している。

 はがきを鑑定した早稲田大の中島国彦名誉教授(日本近代文学)は「1世紀を経て手紙が見つかり、驚いている。留学先での漱石の心情や生の筆遣いが分かり、興味深い」と話している。

 3通は26日から福井市の県立こども歴史文化館(0776・21・1500)で公開される。【大森治幸】

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